はじめに
近年、窒化ガリウム (GaN) は、現在青色発光ダイオード(LED)および青色レーザーダイオード(LD)の材料として大変注目を集めています。また、最近では、ハイパワートランジスタへの応用に向けて国内外の機関で盛んに研究が行われています。GaN系化合物半導体の主な結晶成長方法としては、有機金属化学気相堆積法(MOCVD)と分子線エピタキシー法(MBE)が有ります。また、MBE法には窒素源として、プラズマで窒素ガスを分解して供給するRFプラズマMBE(RF-MBE)と、アンモニアガスを基板上で熱分解して得る方法アンモニアMBE(NH3-MBE)とが有ります。 我々のグループでは、トランジスタ応用を念頭に置いたRF-MBEによるGaN系化合物半導体結晶成長の研究を行っております。(GaNトランジスタの研究に関しては、別ページに記載。)
RF-MBEとは?
GaN系化合物半導体をRF-MBE法で成長する場合には、超高真空チャンバー内に備え付けたるつぼ内のIII属金属材料(Ga, Al, In)を熱することにより得られる分子線と、窒素ガスをRFプラズマを用いて分解することにより得られる窒素ラジカルを、同時にヒーターで熱した基板上に供給します。このとき、成長条件(基板温度など)を適切に設定することにより、基板上には高品質な単結晶が成長します。RF-MBEの特長としては、次のような点が挙げられます。
1. 低温成長可能 _ MOCVDと比べて200-300度、NH3-MBEと比べて100-200度ほど低温での成長が可能です。このことは、InNを含むInGaN, InAlN等を成長する場合にメリットがあります。
2. 安全な窒素源 _ 窒素源として非常に安定かつ安全な窒素ガスを用いるため、装置の安全性も高く、特別な除害装置等も必要としません。