Cat-CVD法とは?
現在、多くの化合物半導体デバイスにおいては、表面に絶縁膜を堆積することにより保護膜を形成しデバイス動作を安定させる手法を取っております。ただ、化合物半導体の場合、Siと比べて結晶の分解温度が低い場合が多く、低温での絶縁膜堆積技術が必要となります。従来は、このような低温で堆積する方法として、原料ガスをプラズマ中で分解することにより基板上に絶縁膜を得る方法、プラズマ化学気相堆積法(PECVD)が一般に用いられておりました。しかし、プラズマを用いるために、反動体表面へのダメージが深刻となる場合があるという問題点を抱えておりました。
Cat-CVD法は、原料ガスを加熱した触媒体に接触させて、その表面での接触分解反応を利用して分解し、基板上に絶縁膜を形成する方法であります。特長としては、Cat-CVD法ではプラズマを全く用いていないので、半導体表面へのダメージがありません。このことは、表面がダメージを受けやすい化合物半導体を用いるデバイスの表面保護膜形成には大きなメリットとなります。
我々のグループでは、InPおよびGaNトランジスタの表面保護膜(表面パッシベーション膜)として用いるためのSiN膜に関する研究を行っております。