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NICT新ビジョン発表会

- 第3期中期計画/災害とICT -
平成23年11月9日(水)14:00〜17:30

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NICT基本方針発表

NICT新ビジョン

■ 宮原 秀夫
理事長
< 講演概要 >
  NICTは、平成23年4月に、新たな5年間の中期計画期間をスタートした。新たな中期計画では、情報通信技術を通じて様々な課題の解決に貢献すべく、ネットワーク基盤技術、ユニバーサルコミュニケーション基盤技術、未来ICT基盤技術、電磁波センシング基盤技術の4つを重点領域として研究開発を進めていくこととしている。
   また、これらを横断的に連携させて成果を創出する「連携プロジェクト」の取り組みなどに力を入れていく。研究開発を進めるに当たっては、産学官の連携を強化するとともに、積極的に研究開発成果の社会への還元も図っていくこととしている。
   本講演では、NICTのこのような新たな取り組みを概観し、NICTのこれからの研究の方向について紹介する。

ICT分野の新たな潮流 <基調講演>

新世代ネットワークの研究に寄せる期待

■ 小林 久志
特級研究員
(米国プリンストン大学 電気工学科及び計算機科学科シャーマン・フェアチャイルド名誉教授)
< 講演概要 >
  NICTの新世代ネットワーク・プロジェクトは、将来のインターネットの設計・開発に取り組むAKARIプロジェクトに始まり、その斬新なアーキテクチュアの設計は5年を経て、全国規模のテストベッド JGN-Xでの実装・検証の段階に入った。新世代ネットワークでは光パケット交換と光回線交換の統合化、ユーザ、機器、データ等のIDと物理的アドレス(ロケーション)の分離化、ネットワークの仮想化、エネルギーの省力化を目指したアーキテクチュアで国際的にも認められる成果を出しつつある。
   今後は新世代ネットワーク基盤上でのサービスやアプリケーションに関する研究開発も含めた新世代ネットワーク戦略プロジェクトを推し進めて、JGN-Xを新世代ネットワークとして具現化していくべきである。わが国と同様にFuture Internet Architecture(FIA)とテストベッドのプロジェクトを強力に推進する米国、欧州、韓国等の諸国といかに協力し、我々の成果をいかに世界のFIAに反映させるかがこれからの大きな課題である。日本国内の大学や企業の次世代の研究者育成に貢献しながら、国内の他のネットワーク研究グループのメンバーも総動員し上記課題を解決しなければならない。

生体に学ぶ情報通信技術のパラダイムシフト

■ 柳田 敏雄 
主管研究員、脳情報通信融合研究センター長
(大阪大学大学院生命機能研究科 特別研究推進講座 特任教授)
< 講演概要 >
  世界の情報量は、年に1.5~2倍と驚異的なスピードで増大しており、それに伴う消費電力は、今は全消費電力の1.5%程度であるが、20年後には50%に達するという試算がある。また、複雑さも増大し、厳密制御も破綻しかねないという深刻な状況である。
   一方、生体は情報ネットワークよりずっと複雑に見えるのに、消費エネルギーは桁違いに少なく、ロバストに制御されている。なぜだろう?
  生体分子モータやヒト脳の研究から、最近、その答えが見えてきた。 生体は、ノイズやゆらぎを上手く使って "ええ加減に" 制御するというユニークな仕組みを使っていることが解ってきた。そして、その仕組みをモデル化し、情報ネットワークや複雑なロボットの制御に応用出来そうだということも分かった。

災害克服に向けた取り組み

NICTの災害対応に向けた取り組み -電磁波センシング基盤技術-

■ 熊谷 博
理事
< 講演概要 >
  今期の中期計画では、東日本大震災を踏まえ、ICT技術開発を通じて災害に強い社会の実現に貢献することを一つの課題としている。また、研究成果の社会還元の促進も重要なテーマとして掲げた。本講演では、NICTの4つの重点研究基盤技術のうち、社会の安心・安全に貢献する電磁波センシング基盤技術について、今期の研究戦略を紹介する。
   特にセンシング技術の中でも、合成開口レーダ技術は、災害の把握にとって有効な技術であり、処理技術開発などを通じて一層応用が広がることを目指したい。さらに、電磁環境技術や時空標準技術の新たな取り組みについても紹介する。

NICTが新しく挑む研究戦略

ネットワーク基盤技術

■ 富永 昌彦 
理事・ネットワーク研究本部長
< 講演概要 >
  NICTでは、現在のネットワークに顕在化し始めている諸問題を解決し、社会が抱える諸課題の解決に寄与するとともに、高度な知的活動を支える情報通信基盤として、今後数十年にわたり社会を支えていくネットワークを実現することを目標に、光ネットワーク、ワイヤレスネットワーク及びネットワークセキュリティの各分野において最先端の研究開発を推進することとしている。
   また、産学官の連携のもとにそれらを融合して「新世代ネットワーク」の研究開発を推進するとともに、研究開発成果をテストベッドJGN-X上で実証することにより、社会展開を促進していくこととしている。
  本講演では、このようなNICTにおけるネットワーク基盤技術に関する研究戦略を紹介する。

ユニバーサルコミュニケーション基盤技術

■ 木俵 豊
ユニバーサルコミュニケーション研究所長
< 講演概要 >
  インターネットによって、我々は必要な情報を検索することや、外国の友人と手軽にコミュケーションできるようになった。しかし、他国の言葉で記述された情報も含めて、大量にある情報の中から、本当に価値のある情報を理解して見つけ出すことは容易ではない。さらに、遠方の人々にその場の臨場感を伝えることや、外国の友人にその国の言語で情報を伝えることも容易ではない。
  第3期中期計画において、ユニバーサルコミュニケーション研究所は、このような情報の量や質、距離、言語などの壁を越えるための実用的な技術を開発することを目標としている。本講演では、5年後の実現を目指しているユニバーサルコミュニケーション技術の紹介を行う。

未来ICT基盤技術

■ 大岩 和弘
未来ICT研究所長
< 講演概要 >
  未来ICT研究所は、顕在化してきた現在の情報通信技術の課題の解決を目指して、既存技術の延長線にはない革新的な情報通信技術の開発を行っている。5つの研究室(超高周波ICT、量子ICT、ナノICT、バイオICT、脳情報通信)を結集し、これまでに培ってきた競争優位の研究開発力を活かして、情報通信技術のブレークスルーにつながる技術シーズを創出し、芽吹かせ、社会展開可能な苗木まで一貫して育てることができる研究体制を構築した。
  ゆるぎない基盤を育みながら、先端融合領域の国際的研究拠点として、社会のニーズや時代の変化にすばやく対応し、未来ICT基盤技術の創出に取り組んでいる。