タ専門で信号を受けるサブアンテナを配置し、これを利用して信号処理的にクラッタを打ち消す手法を開発しています。 また、ISOにおけるウィンドプロファイラの規格作りにおいても、NICTは国際的な議論の取りまとめに積極的な貢献をしています。■ICTの先端技術と相互に関連しながら進化する――今後の抱負について教えてください。川村 ICTおける昨今の流れでは、「Beyond 5G」や「量子ICT」などが大きなキーワードになっています。我々の分野においても、「古くからやっているから、いつまでもその延長でいい」ということではなく、そうした流れに乗り遅れてはならないと思っています。例えばライダーなどは、比較的量子との関連性が大きく、「量子センシング」などといった分野についても視野に入れた検討を始めています。 あるいは「デジタルツイン」など、現実世界をデジタルで再構築するなどの研究も盛んですが、その意味では、我々が行っているセンシングは、まさに現実世界のデータを取り込む入り口です。そうしたところにうまくはまれば、我々の研究もまた、Beyond 5Gに大きく貢献できると考えています。 リモートセンシング自体においても、Pi-SARにしろ、フェーズドアレイ気象レーダにしろ、昔に比べれば扱うデータの量は桁違いに大きくなっています。そのようなデータをいかに早く、必要としているユーザに届けるかも重要な課題で、来年度からそのための研究開発も本格的に開始する計画です。そうした点でもICT全体の技術進化とは密接に関わっています。石井 私自身、NICTの前身であるCRL(旧・通信総合研究所)に入所した時にはリモートセンシングの研究者でした。その後長く別部署にいて、今年度になってしばらくぶりにリモートセンシングに関連する部署に戻ってきました。そうして久しぶりにこの分野に触れると、川村室長もそうですが、技術に関し非常に“熱い”研究者が多く、それは非常に素晴らしいことだと感じています。私としては、その素晴らしさを民間企業でいう営業部門的なかたちでサポートし、外に対し広めていく力になれればと考えています。 川村室長の話の中にもありましたが、センシングはまさにリアルとサイバーの結節点にあります。コロナ禍を経験したことで、今後、ドローンや自動運転など「人の手を介さない」技術の重要性はますます上がっていくことになると思いますが、こうしたものにおいてもセンシングは不可欠です。そうした方面への応用もあると思います。――本日はありがとうございました。図 リモートセンシング技術が拓く「より快適な生活で質の高い安心・安全な社会」3NICT NEWS 2022 No.2
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