つなぐことで、環境が変化し続ける社会において人と人の多様なコミュニケーションを実現し、社会課題の解決を加速できると考えます。3次元の統合ネットワークを実現するためには、静止・非静止の衛星通信プラットフォームで多様な通信を収容する技術や、HAPS・無人航空機によるネットワークの構築技術、あらゆるユーザとつながるための端末技術、それら全ての要素をつなぐネットワーク統合制御技術が重要であり、研究開発や実証が必要です。■衛星5G / Beyond 5G連携で解決が期待される社会課題衛星5G / Beyond 5G連携をキーとして、NTNによって3次元の統合ネットワークを実現することで、様々な社会課題の解決が期待されます(図3)。今後、利用が活発になる地上や海、空、宇宙における通信回線の不足は、船舶、空飛ぶクルマ、ドローン、(無人)航空機、スペースプレーン等全てのモビリティに適切な通信を提供し、MaaS(Mobility as a Service)やシームレス物流といったIoT利用の実現、海洋域・非居住地域での産業のICT利活用拡大につながります。今後の我が国の課題である高齢化・人口減少に対しては、地上通信の敷設の難しい過疎地域においてカバレッジの広いNTNによって通信インフラの強化・多様化を促進してスマートシティ化することや、無人化(自動化・遠隔操縦)の推進に貢献します。近年深刻な課題となっている自然災害の激甚化に対しては、5G技術によってネットワークの迅速な切替えの実現が期待でき、従来の衛星通信以上に、災害救助におけるシームレスな通信環境の維持や、携帯電話網等の地上通信インフラの強きょう靭じん化へ役立つことが期待されます。さらに、昨今の新型コロナウィルス感染拡大を受けたニューノーマルに対しても、NTNの広域性を生かした無人化の推進や、遠隔医療による適切な医療サービスの提供、リモートワーク環境の提供による地方の活性化等が期待されます。■今後の展望宇宙通信研究室では、平成31年度に「衛星通信と5G / Beyond 5Gの連携に関する検討会」を開催し、国内の関係機関の参加により、衛星通信と5G / Beyond 5Gの連携に関する具体的な検討を実施し報告書を公開しました(https://www2.nict.go.jp/wireless/sat5g-scl.html)。この活動を発展させて今後、国立研究機関として「スペースICT推進フォーラム」(https://spif.nict.go.jp/)の活動の中で「5G / Beyond 5G連携技術分科会」をサポートし、衛星通信をはじめとするNTNと5G / Beyond 5Gの連携をキーとして、3次元的な統合ネットワークの実現と、これによる社会課題の解決や新たなサービスの創出に向けて、国内の本分野の活動を推進します。また、研究開発の取組として、ネットワーク統合制御技術をはじめとする3次元統合ネットワーク実現のためのコア技術の研究開発や、欧州と連携した日欧間のBeyond 5G衛星地上統合技術の研究開発を進めます。当研究室では、地上、海、空、宇宙空間を3次元的にシームレスにつなぐことで、あらゆるエリアへの通信を可能とし、今後も変化し続ける社会に対して新しい生活や働き方を提供し、人が主役となる通信の実現に向けて活動を進めていきます。図1 衛星5G / Beyond 5G連携への期待図3 衛星5G / Beyond 5G連携で解決が期待される社会課題図2 Beyond 5G時代のネットワークのイメージ7NICT NEWS 2021 No.1
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