2021年 年頭のご挨拶明けましておめでとうございます。国立研究開発法人情報通信研究機構理事長 徳田 英幸新型コロナウイルスの感染拡大によりお亡くなりになられた方々のご冥福を謹んでお祈りしますとともに、病院等におきまして感染者、重症者の治療に尽力されている医療従事者の方々に深く敬意を表します。また、令和2年7月豪雨などの災害により、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表し、被災された多くの皆様には、心からお見舞い申し上げるとともに被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。昨年は、年が明けて間もなく新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行により、未曽有の危機に見舞われました。その対策として各国にて厳しい外出制限等が行われ、ICTを使ったテレワーク、遠隔授業、遠隔医療などが新しい生活様式に必要不可欠となる一方で、社会全体におけるデジタル化の遅れなど多くの課題が顕在化しました。今後、ニューノーマル社会に対応するため3密を回避した社会経済活動を目指し、非接触・遠隔・超臨場感を提供する高度なICTインフラの整備、サイバーセキュリティの確保などを通じて、社会のデジタルトランスフォーメーションを進めていく必要があります。NICTは、情報通信分野を専門とする我が国で唯一の国立研究開発法人として、ICTの高度化による社会課題の解決や新たな価値の創造を使命とし、その実現のために、日々、世界最先端技術の研究開発へのチャレンジと、社会展開・実装のためのコラボレーション/オープンイノベーション推進の取組を一体的に進めております。アフターコロナ社会を見据え、昨年6月に特別オープンシンポジウムをオンライン開催し「アフターコロナ社会のかたち」について議論するとともに、高強度深紫外デバイス、防災AIチャットボット・マルチモーダル音声対話システム、AI同時通訳技術、Beyond5Gに向けた研究開発、サイバーセキュリティなど、次世代ICTの研究開発を進めています。第4期中長期計画の下、研究開発においては、センシング基盤分野・統合ICT基盤分野・データ利活用基盤分野・サイバーセキュリティ分野・フロンティア研究分野の5分野を着実に推進してまいりました。特に、時空標準技術、新型マルチコア光ファイバによる大容量通信、Beyond 5G / 6G、脳情報通信、量子ICT、バイオICTなどにおいて世界をリードする優れた技術が創出されました。コラボレーション/オープンイノベーション推進の取組としては、引き続きSecHack365やCYDERなど、実践的なサイバー演習によるセキュリティ人材育成を加速したほか、新たに、量子ネイティブの人材育成を目的としたプログラムNQC (NICT Quantum Camp)を開始しました。また、総務省より「グローバルコミュニケーション計画2025」が発表され、2025年の大阪万博を目指してAI同時通訳の研究開発を開始しています。また、国内外において、研究機関・企業・大学・地方自治体等と共同研究・実証プロジェクトを進めるとともに、NICTが開発した様々な先端技術や総合テストベッドを企業等に活用いただく活動や、ITU・IEEE・IETF等での国際標準化活動も推進しています。運営方針として掲げている、コラボレーション、オープンマインド・オープンイノベーション、チャレンジャー精神の3点を連動させた取組を推進し、従来のリニア型の研究開発に対して、早期に外部と連携しながら研究開発を進めるノンリニア型の研究開発を進めます。海外機関との連携に関しても、欧米、ASEAN諸国との連携を一層強化していきます。また、NICTで創出された研究成果データについては、継続的にオープン化を進めてまいります。NICT では今年4月から新たな中長期目標・計画が始まります。NICTとしては、引き続き国立研究開発法人としての社会的責務を効果的に果たしてまいります。今後とも変わらぬご支援、ご協力を頂きますようお願い申し上げます。最後になりましたが、本年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。1NICT NEWS 2021 No.1
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