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“さっぽろ雪まつり” 8Kライブ映像 超広帯域リアルタイム暗号化配信実験を実施

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2016年2月4日

国立研究開発法人情報通信研究機構

ポイント

    • 世界初、8K非圧縮映像の超広帯域リアルタイム暗号化配信に成功
    • JGN-XとSINET5の連携により、広帯域実験ネットワークを展開
    • 8K/4Kで今後不可欠となるセキュリティ対策の実用化に期待

NICT テストベッド研究開発推進センターは、JGN-X上にて、新世代ネットワークの実現に向けた研究開発を進めています。このたび、2月5日(金)から開催される“さっぽろ雪まつり”の8K/4K映像を用いて、産学官関係組織46団体との連携によるNICT主催の実証実験として、8Kライブ映像の超広帯域リアルタイム暗号化配信に世界で初めて成功しました。これは、8K/4K実用化に向けて不可欠となるセキュリティを実現した配信実証実験となります。
なお、本実験は2月6日(土)にグランフロント大阪内のナレッジキャピタルにて一般公開いたします。

背景

NICTは、新世代ネットワークの実現に向けた研究開発用テストベッドネットワーク「JGN-X」を構築・運用しています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて実用化が見込まれる8K/4K超高画質映像配信において、昨年成功した8K非圧縮映像マルチキャストのように回線性能を効率的に活用する配信技術と並行して、配信時に途中経路での悪意あるコンテンツ改ざん、盗聴等を防ぐセキュリティ対策が必須となります。しかしながら、8Kのようなライブコンテンツ配信では、セキュリティ対策が取られていないのが現状でした。

今回の実験概要
今回の実験概要

今回の実験では、IPsecによる暗号化技術を用いて、広域ネットワーク上で8K非圧縮ライブ映像を世界で初めてリアルタイムに暗号化・復号化し、安全に配信できる仕組みを構築しました。さっぽろ雪まつり会場で撮影される8K映像データをすべて暗号化して大阪うめきたの一般公開会場まで送信し、会場内で復号化して中継映像を広域に安全に配信できることを実証しました。
実験は、神奈川工科大学、セキュリティ通信機器メーカー4社ほかと共同で実施し、複数の暗号化実装方式による実験を行いました。並列に構築した実装方式の切替時には個々の機器での煩雑な設定変更が必要になるところ、これまで研究開発・運用を進めてきたSDNテストベッド「RISE」の技術を活かし、機器の通信経路変更を遠隔から一括で制御することにより、短時間での切替えが可能になりました。
回線は、JGN-Xの国内100Gbps基幹回線に加え、国立情報学研究所が構築中の学術情報ネットワークSINET5が実証実験に参加することにより、北海道から沖縄へと日本列島を縦断する100Gbps回線の構築が実現しました。これにより、沖縄を含む全国拠点に対し、札幌で撮影した8K非圧縮映像のマルチキャスト中継実験を行います。また、タイの研究機関と協力し、JGN-Xバンコクアクセスポイントを経由して日本-タイ間で相互に4K映像を配信する国際伝送実験を実施します。
 これらの実験は、<実証実験 参加機関>に記載の機関の協力・協賛を得て実施するものです(補足資料参照)。

今後の展望

今回のリアルタイム暗号化の成功により、さらに多くの利用者にJGN-Xテストベッド環境を提供し、将来の新世代ネットワークの早期実現を目指します。
今回の実証実験について、2月6日(土)17時からグランフロント大阪にて一般公開いたします。



補足資料

今回の実験概要

 実験の全体構成

実験の全体構成

【8K非圧縮映像リアルタイム暗号化通信】
● 札幌-大阪会場区間で実現
 
【8K非圧縮映像マルチキャスト通信】
● 北海道から沖縄への全国拠点で複数の8Kマルチキャスト通信
● 同時に、4K非圧縮マルチキャスト通信、タイ向けに4K圧縮映像でマルチキャスト配信
●(8K非圧縮: 24Gbps、4K非圧縮: 6.4Gbps)
※ 映像伝送関連実験は、NICTと神奈川工科大学ほかの共同研究


 8K映像セキュア配信とSDN技術による実験支援フレームワーク

8K映像セキュア配信とSDN技術による実験支援フレームワーク

● 8K非圧縮ライブ映像の暗号化配信
> 札幌で8K映像の暗号化、大阪にて復号化
> 複数の異なる暗号化実装方式を並列に構築、切替えにより全方式に対し実証実験を実施
> SDN技術による経路切替制御により、遠隔から短時間の方式切替を実現


 JGN-XとSINET5の連携によるネットワーク全体構成

● JGN-XとSINET5の連携により、北海道から沖縄に及ぶ日本列島縦断100Gbpsネットワークの構築
> JGN-X/SINET5区間をまたいで実験成功(札幌-大阪)
連携による相互接続性を実証

● バンコク会場への国際伝送実験
> JGN-X国際回線を用いて配信
> バンコクからの映像及び日本からの映像について配信実験

GN-XとSINET5の連携によるネットワーク全体構成
実証実験 参加機関

1. 主催

・ 国立研究開発法人情報通信研究機構 テストベッド研究開発推進センター

2. 協力団体 (順不同)

・ 大学共同利用機関法人
  情報・システム研究機構 国立情報学研究所
  (NII)
・ 朝日放送株式会社(ABC)
・ 株式会社スカイ・エー(スカイ・A)
・ 株式会社GAORA
・ 北海道テレビ放送株式会社(HTB)
・ 株式会社インターネットイニシアティブ
・ 日本電信電話株式会社
・ NTTコミュニケーションズ株式会社
・ エヌ・ティ・ティ アイティ株式会社
・ KDDI株式会社
・ 北海道総合通信網株式会社(HOTnet)
・ 株式会社協和エクシオ
・ 株式会社オービス(OBIS)
・ ファットウェア株式会社
・ 株式会社電通国際情報サービス
・ アリスタネットワークスジャパン合同会社
・ シスコシステムズ合同会社
・ ジュニパーネットワークス株式会社
・ パロアルトネットワークス株式会社
・ フォーティネットジャパン株式会社
・ 日本電気株式会社
・ イクシアコミュニケーションズ株式会社
・ 株式会社JVCケンウッド


・ シャープ株式会社
・ パナソニック株式会社
・ PFUビジネスフォアランナー株式会社
・ 株式会社日立国際電気
・ アストロデザイン株式会社
・ 株式会社ヴィレッジアイランド
・ ピュアロジック株式会社
・ 株式会社トランス・ニューテクノロジー
・ デジタルリサーチ株式会社
・ ナパテックジャパン株式会社
・ グリーン株式会社
・ 住友電気工業株式会社
・ 池上通信機株式会社
・ 株式会社ナックイメージテクノロジー
・ 学校法人幾徳学園 神奈川工科大学
・ 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
・ 学校法人加計学園 倉敷芸術科学大学
・ サッポロファクトリー
・ 沖縄県名護市
・ 沖縄県宜野座村
・ 沖縄県北部広域市町村圏事務組合
・ 特定非営利活動法人 NDA
・ サイバー関西プロジェクト(CKP)



※上記は、2016年2月1日時点



用語解説

JGN-X

NICTが2011年4月から運用している新世代ネットワーク技術の実現とその展開のための新たなテストベッド環境

8K/4K

4Kは高品質テレビ規格で、現行のフルハイビジョンの画素数(約200万)の4倍にあたる800万画素を持ち、高精細な映像品質を実現する。放送向けの4K規格では横3,840×縦2,160の画素数であり、横方向の画素数が約4,000であることから4Kといわれる。日本では一般社団法人 次世代放送推進フォーラム(略称: NexTV-F)が2014年6月から試験放送を開始し、2015年3月からはCS放送及びケーブルテレビにて商用放送が開始された。
8Kは、NHK放送技術研究所が中心となって開発されているテレビ規格であり、4Kの約4倍、現行のフルハイビジョンの約16倍にあたる3,300万画素を持つ。横7,680×縦4,320の画素数であり、横方向の画素数が約8,000であることから8Kと呼ばれ、ウルトラHD(UHD)もしくはスーパーハイビジョンとも呼ばれる。NHKは、2020年にもスーパーハイビジョンの本放送を目指すとしている。

昨年成功した8K非圧縮映像マルチキャスト

IPsec

IPsecはインターネット上での安全な通信を実現するための方式で、IPネットワーク上での通信の端点と端点で暗号化と認証を行う。これにより、通信路上でのデータの改ざんや盗聴を防止することが可能になる。また、特定の通信のみを保護する方式と異なり、対象とするIPネットワーク上を流れるすべての通信を一元的に保護することが可能である。

SDN(Software Defined Networking)

ソフトウェアによってネットワーク上の機器を統一的に制御可能、また、動的に設定、構成が変更可能な仕組みを指す。

RISE(Research Infrastructure for large-Scale network Experiments)

NICTがJGN-X上に構築、サービス提供を行っているSDNテストベッド

SINET

国立情報学研究所(NII)が日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として構築・運用している学術情報ネットワーク。今回の実験では、2016年1月から構築を開始したSINET5を利用し、札幌ー東京間、大阪ー沖縄間の回線を担当した。

グランフロント大阪にて一般公開

<2月6日(土)17時~ 実証実験 一般公開会場>
グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル
The Lab.(ザ・ラボ) みんなで世界一研究所 3F
大阪市北区大深町3-1 (JR大阪駅の北側からお越しください。)
http://kc-i.jp/access/

当日、会場ではシャープ製85型8Kディスプレイにて実験映像を表示予定。同機では、フル8K、秒間60フレームでの映像表示が可能



実証実験に関する問い合わせ先

テストベッド研究開発推進センター

寺田 直美
Tel: 03-3272-3060
Fax: 03-3272-3062
E-mail:

広報

広報部 報道担当

廣田 幸子
Tel: 042-327-6923 
Fax: 042-327-7587
E-mail: