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無人航空機(ドローン)用無線伝送システムの共同研究の開始について

~電力設備点検ドローン用見通し外無線伝送システムの開発をめざして~

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2017年8月18日

電源開発株式会社
国立研究開発法人情報通信研究機構

電源開発株式会社(取締役社長:渡部肇史、以下「Jパワー」)と国立研究開発法人情報通信研究機構(理事長: 徳田英幸、以下「NICT」)は、「ドローンを活用した電力設備点検のための無線伝送システムの共同研究」を進めることとなり、このたび契約を締結しました。
Jパワーは、ドローンを活用して電力設備点検の効率化を目指すための研究開発を実施していますが、特に山間部では山や樹木に遮蔽されて電波が届かず、また携帯電話も圏外となる場所が多くあるため、ドローンの運用範囲には限界がありました。一方NICTは、通信料金がかからず低コストで比較的長距離の通信が可能な920MHz帯を用い、ドローンの操縦者から見て目視外で、かつ電波が直接届かない環境でも、別のドローンを無線中継用として飛行させることにより、見通し外のドローンとの間の通信を確保して安全運航を可能とする技術の開発に取り組んでいます。
本研究は、NICTが開発する「直接電波見通し外」(※1)で安全にドローンを運航するための無線伝送技術を、Jパワーが開発する電力設備点検用ドローンに適用し、山間部での点検作業の大幅な効率化を図るための検証・評価を行うものです。
共同研究では、ドローンを見通し外で運航する際の無線中継方法、飛行ルートの選定、運航条件・運航制約の検討並びにドローンの運用方法、さらにはコマンドやテレメトリ(※2)等の通信品質及び電力設備点検への有効性の検証・評価を行い、平成31年度の導入を目指します。

用語解説

(※1)…操縦者の制御端末からドローンまでの間、山や樹木等に遮られて電波が直接到達しない状況。
(※2)…操縦者側からドローンに無線で送られる制御命令データと、ドローンから操縦者側に無線で送られてくるその位置や高度、飛行状態等のデータ。

別添資料 電力設備点検ドローン用見通し外無線伝送システムの概要

通常、ドローンを運航する場合、操縦者とドローンの間に山や樹木等の障害物があると電波は弱くなったり途切れたりすることで、ドローンの制御や状態監視ができなくなります。このため、操縦者から直接電波の見通しが取れる範囲、あるいは目視可能の範囲内でしかドローンの運航はできませんでした。このため、山中に広域にわたって設置されている送電線等を点検する場合においては、山や樹木により見通しが遮られることが多く、ドローンを活用することはできません。
NICTでは、内閣府が進める革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環であるタフ・ロボティクス・チャレンジ(プログラムマネージャ:東北大学田所諭教授)の中で、直接電波見通し外のドローン運航を可能とする、マルチホップ中継制御通信システム「タフ・ワイヤレス」の開発を進めてきました。この技術は、免許不要な周波数の1つである920MHz帯を用いて、最大2台までの地上設置あるいは別のドローンに搭載された中継局を介し、バケツリレーのように通信信号をつないでドローンを制御(コマンド送信)するとともに、その状態監視(位置、高度や姿勢等のテレメトリ受信)を可能とします。
このシステムの大きな特徴としては、操縦者側でコマンドを送信してからドローンに到達するまでの遅延時間が0.06秒程度と非常に短く、またドローンの移動により途中の中継経路が切り替わったとしても、通信信号が途中で切れることがなく、連続して制御と状態監視ができることです。
「無線伝送システムの共同研究」では、この技術を電波見通し環境の悪い山中等の電力設備点検ドローンに応用するためのシステム研究を行います。(以下がイメージ図となります)本システムの実現により、操縦者が足場の悪い山中を移動することなく、電力設備点検ドローンの運航範囲を電波見通し外まで行うことができ、作業効率の大幅な改善が期待されます。
本研究を通じて、将来に向けたさらなるドローンの活用が期待されます。

電力設備点検ドローン用見通し外無線伝送システム

お問い合わせ先

電源開発株式会社 広報室 広報室

大根田、常岡
Tel:03-3546-2211(代表)

NICTワイヤレスネットワーク総合研究センター

三浦
Tel:046-847-5445