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今後1週間程度太陽活動に注意

~Full Halo型CMEを確認~

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2015年6月24日

国立研究開発法人 情報通信研究機構

2015年6月20日(土)から22日(月)にかけて合計6回の中型の太陽フレア現象の発生と、2回のFull Halo型CMEを確認しました。この現象の最大X線強度は、通常の10倍以上に及ぶものです。この2回のFull Halo型CME現象を引き起こした非常に活発な黒点群AR2371は現在、太陽面の正面にあり、今後1週間ほどは地球側を向いていると予想されます。この間に今回と同規模の太陽フレアが発生した場合には、地球周辺の宇宙環境や電離圏、地磁気が乱れる可能性があり、通信衛星、放送衛星などの人工衛星の障害やGPSを用いた高精度測位の誤差の増大、短波通信障害や急激な地磁気変動に伴う送電線への影響などが生じる恐れがあり、注意が必要です。

背景

NICTは、太陽活動や宇宙環境変動の観測を行い、現況とその推移に関する情報提供を行っています。

今回観測した現象
今回フレアを発生させた活動領域2371

①  太陽活動は、第24太陽活動サイクルがピークを迎えた2014年以降も活発であり、最近も太陽フレア現象が頻発している。
②  特に21日1時2分UTに発生したフレア現象に伴い、地球に向けて噴出されたCMEが22日から23日にかけて到達し、強い磁気嵐を引き起こしている。また、22日17時39分UTに発生したフレア現象に伴うCMEの影響は24~25日に現れる可能性がある。
③  この2つのCMEは地球に向かって噴出されるFull Halo型と呼ばれるものであり、CME内の磁場の向きが南向きの時には大きな磁気嵐を生じさせるものである。またこれに伴い、日本でも低緯度オーロラが観測される可能性がある。

今後の推移

今回の現象は、現在太陽面のほぼ正面にある黒点群2371で発生しているもので、この領域はあと1週間ほど地球に対面する方向にあります。黒点が地球に対面した形でフレア現象が生じると、それに伴うCMEが地球に向けて放出される可能性が高いため影響が大きくなります。今回発生した太陽フレアと同規模の現象が、今後1週間以内に再度発生した場合には、人工衛星の障害や、高精度測位の誤差の増大、短波通信障害や送電線への影響が発生する可能性があり、これらの利用には注意が必要です。

 

用語解説

太陽フレア現象

太陽の黒点群の領域で生じる爆発現象。太陽フレアに伴い、強い紫外線やX線、電波等が放射される他、高温のガスが放出されるCME現象が生じることもある。発生したフレアの最大値により、小規模なものからA、B、C、M、Xの順にクラス分けされている。

コロナ質量放出現象(Coronal Mass Ejection(CME)現象)

太陽の上層大気であるコロナのガスが惑星間空間に放出される現象。地球に到来すると大規模な宇宙環境変動を引き起こすことがある。このうち特に、地球から見て太陽の周り全体にガスが噴き出して見えることをFull Halo型CMEと呼ぶ。これは地球に向かってCMEが噴出したことを意味するため、警戒が必要である。

第24太陽活動サイクル

太陽活動はほぼ11年の周期で変動しており、その周期的な変動をサイクルとして1755年から数えている。第24太陽活動サイクルは2008年1月に開始したと考えられている。

人工衛星SDOで観測された太陽画像(可視光)
人工衛星SDOで観測された太陽画像(可視光)

人工衛星SOHOで観測されたFull Halo型CME
人工衛星SOHOで観測されたFull Halo型CME

本件に関する問い合わせ先

電磁波計測研究所 宇宙環境インフォマティクス研究室

石井 守
Tel: 042-327-7540 Fax: 042-327-6163
E-mail: